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口ベタでも人を動かす方法とは?

「はじめまして。この商品はこんなことができます、あんなこともできます。価格は1億円です。契約してください」

初対面の人に、こんなプレゼンをされたらどう思いますか? いくらすごい商品だとしても、契約しませんよね。

もしかして、その人のセールストークが天才的にうまかったら契約してしまうかもしれませんが、まさに天才でもない限り、初対面の人から1億円の契約をとるほどのセールストークはできません。

このように説くのは、企業向けにプレゼンやパワーポイントの資料に関するコンサルティングを行っているプレゼンマスターこと山田進一さん(株式会社オリファイ代表取締役社長)です。

山田さんは著書『口ベタでも人を動かす魔法のプレゼン』 (あさ出版) で、 普通の人がそのくらいのトークを身につけるためには、訪問販売、キャッチセールス、テレアポなどさまざまな営業経験を、何年も積む必要があるでしょうし、膨大な時間がかかりますし、それでも身につかないかもしれません、と述べています。

では、どのようにすれば聞き手を行動させることができるのでしょうか?

今回は、口ベタでも人を動かすためのテクニックをいくつか紹介しましょう。

テクニック① Breakdown
大きな行動を小さく分解して要求する

まずは、期待する最終的な行動をできるだけ小さな行動に分解(Breakdown)します。

冒頭の例でいうと、いきなり1億円の契約を要求しても、そんな大きな要求では、聞き手は動いてくれません。

まずするべきは、最終的な行動に至るために必要な、最初の小さな行動に絞ることです。聞き手には小さな行動を一つひとつ確実にクリアーしてもらっていき、最終的な行動へと導くようにします。

たとえば、あなたがセミナーで大勢のお客様に商品の説明をする場合は、「契約してもらう」という最終的な行動に至るために必要な、小さな行動に分解します。

この場合なら「今後お役に立つ情報をご提供するために、現状に関するご意見をお聞かせください」といった、小さな行動に分解して要求するのです。それならお客様も行動しやすくなります。

また、あなたが商品企画部門で、社内の営業部門向けに新商品説明のプレゼンをするとします。あなたが営業部門に求める最終的な行動は「新商品をジャンジャン売ってもらうこと」です。

でも「新商品の機能はこうです。それではジャンジャン売ってください」というだけでは、営業部門は動きません。

この場合、まずは「お客様向けに新商品の説明会を開いてもらう」という小さな行動に分解して要求するのです。

お客様に新商品を説明する機会をつくってもらうことで、まずは知ってもらい、体験してもらったあとで「売る」というアクションにつなげるようにします。

テクニック②Specific
要求する行動を明確にする

大きな行動を小さく分解したら、次は要求する行動を明確(Specific)にします。

たとえば「今後お役に立つ情報をご提供するために、現状に関するご意見を聞く」という要求を「そのために連絡先をお手元のアンケート用紙に記入していただき、入口の受付に提出してください」と明確にします。

なお、この場合、アンケート用紙がキチンとお客様の手元に用意されていることは当然ですが、アンケート用紙が見当たらないという場合に備えて、「お手元にアンケート用紙のない方はお手をあげてください、すぐにお持ちいたします」とアナウンスします。

また、商品企画部門から営業部門に対する新商品のプレゼンで、大きな行動を小さく分解して「それではお客様向けに新商品の説明会を開いてください」とお願いしただけでは、人は動きません。

なぜなら、具体的な行動の内容が明確になっていないからです。明確になっていない行動は、いくら小さな行動であったとしても何をしていいのか考えるのが面倒になり、結局行動しないのです。

ですから、要求する行動を明確にし、聞き手が何も考えずにすぐに行動できるようにお膳立てしてあげるのです。

たとえば「お客様向けに新商品の説明会を開いてください」という要求を「新商品の説明会参加を依頼するメールテンプレートを用意しましたので、それを利用して既存のお客様向けにメールを出してください」というように、何も考えなくても行動できるように要求を明確にします。

できれば、「メールテンプレートはこのプレゼン終了後すぐに渡しますので、今週中にお客様向けにメールを出してください」というところまで明確にします。

テクニック③Bias
行動せざるをえないように圧力をかける

大きな行動を小さく分解し、明確にしたうえで、さらに行動せざるをえないように圧力(Bias)をかけます。分解して明確にしただけでも十分ですが、さらに成果を出すためには、圧力をかけたほうがより効果的です。

たとえば「記入したアンケートを受付に提出してください」と明確にしたうえで「アンケートと引き換えに本日の補足資料をお渡しいたします」とすれば、補足資料が必要と考える真剣なお客様は、アンケートを提出せざるをえません。

また、社内の営業部門に期待する行動として「メールテンプレートを利用してお客様向けにメールを出してください」と明確にしたうえで「どのお客様にメールを出したかお聞きしますので教えてください。状況をまとめて皆さんの部長に報告します」とすれば、行動しない営業は営業部長に怒られますから、行動せざるをえません。

口ベタでも人を動かすBSBの法則

今回紹介したテクニックは、営業に限らず、ビジネス全般に使えるだけでなくプライベートでも聞き手を確実に行動させる、なんにでも使える法則です。

大きな行動を小さく分割(Breakdown)し、要求する行動を明確(Specific)にしたうえで、行動せざるをえない圧力(Bias)をかける「BSBの法則」を利用して、あなたもプレゼンで人を動かしてくださいね。

今回取り上げた書籍

口ベタでも人を動かす 魔法のプレゼン
出版社:あさ出版
著者:山田進一

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