プレゼンの資料を作成する際の色選び、もしかして自分の好みや気分だけで選んでいませんか? 同じ内容、同じレイアウトの資料であったとしても、色使いが違うだけでわかりやすさや説得力に大きな差が出ます。
このように説くのは、企業向けにプレゼンやパワーポイントの資料に関するコンサルティングを行っているプレゼンマスターこと山田進一さん(株式会社オリファイ代表取締役社長)です。
山田さんは著書『マンガでやさしくわかるプレゼン』 (日本能率協会マネジメントセンター) で、 多くの人が色の選び方で悩んでいますが、数少ないルールを理解するだけで効果的な色使いができるようになる 、と述べています。
今回は、効果的なプレゼン資料のための色に関するルールを紹介します。
「味方」と「敵」とをハッキリ分ける
まず、プレゼンで重要なのは、あなたが何を「良い」とし、何を「悪い」と主張するのかをハッキリさせることです。
たとえばスマホの特徴なら、「良い」は「いつでもどこでも簡単にインターネットが利用できる」であり、「悪い」は「操作が複雑」であると、主張する内容を明確にします。
その上で「良い」色と「悪い」色を、資料を作成する前に決めます。たとえば「良い」を青「悪い」を紫と決めた場合は、次のように書きます。
「良い」=青文字→ 「インターネットの利用が簡単」
「悪い」=紫文字→ 「操作が複雑」
資料を通じて「良い」=青「悪い」=紫と統一されていれば、聞き手は、青で書かれていることは「良い」ことであり、紫で書かれていることは「悪い」ことであると、自然と受け止められるようになります。
このように色に意味を持たせることで、あなたのプレゼンが誤解されることなく、自然と正確に理解させるようになります。
そもそも色は、どう選ぶ?
それでは「良い」色は、どのようにして決めたらいいのでしょうか?
仕事用であれば自社のロゴに使われている色やブランドカラーを参考にするという方法があります。しかし、特に色に指定がない場合は選択肢が広すぎて悩んでしまいます。こんな時は、それぞれの色が持っている印象を参考に、自分の主張に近い印象の色を選びましょう。
赤…活発、激しい、情熱的
橙…楽しい、やわらかい、温かい
黄…明るい、カジュアル、好奇心
緑…穏やか、自然、調和
青…冷静、誠実、さわやか
紫…神秘的、非現実的、芸術的
このように色を決める際には色の持つ印象が重要ですが、もう一つ重要なことがあります。
それは彩度です。
彩度とは、要はどれだけケバケバしいか、ということです。たとえば同じ緑色でも、蛍光色の緑色と、落ち着いた濃い緑色は違います。
蛍光色は明るく目立ち活力を感じる反面、多少子供っぽい印象があります。逆に、濃い色は暗く元気がない印象を受けるかもしれませんが、違う観点からすると落ち着いた大人っぽい印象を与えます。
絞る。だから、伝わる
「良い」と「悪い」の色を決めたら、使う色はあまり増やすべきではありません。
というのも、プレゼンの資料で「良い」と「悪い」以外の色が多数使われると、聞き手はこう思ってしまうのです。
「良い」が青で、「悪い」が紫なら、赤はどんな意味で、緑はどんな意味なの?
確かに「良い」と「悪い」以外にも、「参考情報」や「注意事項」など色分けしたくなる気持ちはわかります。わかりますが、使う色を増やせば増やすほど、あなたの主張はどんどんわかりにくくなっていきます。
あなたがプレゼンで一番に伝えるべき内容を、一番わかりやすくするために色を利用すると考えて、できるだけ使う色を限定しましょう。
絞った後で、広げる
使う色をできるだけ限定する。理由は理解できたけど、実際に資料を作成するとなるとやっぱりいろんな色を使いたい! という場合もありますよね。
そんな時は、メイン一色の濃淡+モノトーンでバリエーションを生み出しましょう。たとえば、赤をメインに使った資料の場合、赤に濃淡をつけるのです。
朱色、赤色、えんじ色。これに白色、薄い灰色、濃い灰色、黒色といったモノトーンを組み合わせる。使う色は一色ですが、これで非常に多くのバリエーションが利用できるようになります。
これでもダメな場合。複数の製品を紹介する資料で、それぞれの製品にイメージカラーがある。確かにこのような状況であれば、メイン一色だけでは難しいですね。使う色を増やさざるを得ない、こんな場合は、メインの色と同じトーンで使う色を選びます。
同じトーンとは何か?明るさや鮮やかさが同じということです。
たとえば、メインがパステルカラーの淡い青であれば、色を増やす場合はパステルカラーの淡い色で増やす。メインが濃い紺色であれば、濃い色で増やす。
このように、使う色を増やさなければならない場合は、メインの色と同じトーンの色を選ぶことで、資料の統一感を保ちましょう。
今回取り上げた書籍
マンガでやさしくわかるプレゼン
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
著者:山田進一